楽しいBDSMのススメ エリとヤザキの場合 第六話

  2008/08/19 - 11:23:35

母親の誕生日会を夜に計画していた日の昼間、ヤザキからチャットで話しかけられた。
事前にヤザキにもそれは伝えていたので、そのチャットはとても控えめな内容だった。

「あのですね、本日外泊可能になりました。でも、誕生日祝いなんですよね」

この時点で、私は今回は無理だと思った。
それはヤザキも同じであったことだろう。
翌日仕事があるため、外泊可能とはいっても、長時間は一緒にいられないので、自分も迷っているとヤザキはいった。

けれど、ちょっと冷静になって考えて調べてみたところ、誕生日会が終わってから電車に乗ってヤザキの職場の近くまで行けば、仕事を終えたヤザキと丁度同じ時間に合流できることに気付いた。

前回の件で、ヤザキは私を一人でホテルで待たせることはもうやめようと思ったといっていた。
だから、逆にこの方が都合が良いのかもしれない、私はそう思った。

私は家族の了解を得てから、ヤザキに逢えることを伝えた。

そして、二人で忘れようと約束をした、前回と同じホテルを予約した。
躊躇はしたけれど、それで前回の記憶を上書きするのも、ひとつの手ではないかと私は思い、ヤザキにもそう伝えた。

前回の反省から、私が誕生日会で一切アルコールを飲まなかったことで、予定よりも三十分以上早くホテルの最寄り駅に着いたため、私は先にチェックインすることにした。

前回とは違う階だけれど、前回と同じ角の部屋。
私は窓を開け、高速道路を流れる車の光を見ながら、煙草を吸ってヤザキを待った。
前回の反省から、待っている間もアルコールは一切飲まなかった。
煙草を数本吸ったところで、部屋のチャイムが鳴った。

あんなに逢いたかったのに、私はヤザキの顔が見られなかった。
会話は普通にしていても、どうしても顔が見られなかったのだ。

そして荷物を置き、食事に行った場所も、前回と同じだった。
そこでも相変わらず、私はヤザキの顔を見ることができなかった。

前回のことはもう忘れましょうと、なかったことにしましょうと、復縁した際、ヤザキは私にいってくれていた。
けれど、私はちゃんと詫びない限り、きっとこのままヤザキの顔を見られないと、その時思った。
私の中で、このままではけじめがつかなかったのだ。

そして、乾杯した直後に、私は前回のことを謝罪した。

「もう本当に、いいですから。忘れましょう」

そういうヤザキを制止して、私の気持ちの整理がつかないからと断って、私はヤザキに頭を下げた。

それ以上、前回のことは話さなかった。

軽く食事をしてホテルに戻り、煙草を吸い、私はヤザキに服を脱ぐようにいった。

ここ数週間、ヤザキの体調が良くなかったことと、翌日の仕事に差し支えても困るため、二時間で射精させて、私はヤザキを眠らせるつもりだといった。
ヤザキもそれに同意した。

あまりに急なことだったので、キャリーが修理中のこともあり、今回もまた、全ての道具を持ってくることはできなかった。
けれど、今回私は、ヤザキに無理な体勢を取らせたり、苦痛を与えるつもりはなかった。

「私は逢えるだけでいいです、今回は」

そういったヤザキの言葉を信じて、私は今回は、ハードなことは一切しないつもりだった。

私は洋服を着たまま、ヤザキに目隠しをし、手首と足首に枷をつけ、首輪をし、最後にボールギャグを咬ませてその上からガムテープで固定し、首輪につけたチェーンを引いて、ヤザキを浴室のドアの目の前に拘束した。

浴室のドアは、鏡張りになっていた。

「シャワー浴びてくるから、いい子に自分の姿を見て待っていなさいね」

そういって、パチンと目隠しを外し、私は浴室に消えた。

その間、ヤザキはちゃんと目を開けて自分の姿を見ていたのかどうか、私は確認していない。
私は軽く汗を流し、簡単に化粧を直し、動きやすい服装に着替えて、戻った。

バスタブのドアをあけると、そこには勃起して目をトロンとさせてヤザキが立っていた。

「いい子にしていた?」

そういうと、喋ることのできないヤザキは、何度も何度も頷いた。

私は拘束を解き、ヤザキをベッドに横にさせた。

そして、煙草を吸いながら、ヤザキの乳首を指で転がし、首筋や脇腹にわざと爪を立てて軽く引っかいた。
それだけでヤザキは、まるで打ち上げられた魚のように、身体をビクンビクンと動かしていた。

私は、ヤザキの喘ぎ声を聞きたくなり、乱暴にガムテープとボールギャグを外した。
そして、耳を舐めながらいった。

「大きな声で喘いで。私が興奮するぐらい、いやらしい声で」

その言葉をいい終えるよりも早く、ヤザキの口からは、女のような喘ぎ声が出始めた。

「お前は男でしょ?どうしてそんな声を出すの?前にいっていたでしょう、声も出さないつまらない男だとSMクラブでいわれたことがあるって。嘘だったの?こんなに喘いでいるじゃない。まだ私、大したことしていないでしょう?女の私だって、こんなに乳首感じないよ。どうせ自分で乳首ばっかり触って開発しちゃったんでしょう。変態」

ヤザキはそれに対して、首を横に振った。
そして、喘ぎ声をあげながら、途切れ途切れにいった。

「エリさんに…触っていただけて…嬉しいんです」

私は右手の枷と右足の枷を、左手の枷と左足の枷を繋いで、ヤザキをベッドの上で大股開きにさせた。
そして、私は、シャワーを使わせていないヤザキの匂いを嗅いだ。

恥ずかしいと身を捩るヤザキに、

「汗の匂いがする」

といい、ますます身を捩るヤザキの太ももの付け根に舌を這わせた。

そして、アナルをゆっくり舐めると、ヤザキは顔を真っ赤にして、喘ぎ声をあげた。
舌でアナルを緩めてから、ローションをたっぷり塗った指を、ゆっくり挿入した。

ヤザキの反応は、いつもと違っていた。

切れやすいこともあり、アナルで感じたことがないと逢う以前にいっていたヤザキは、今までも、

「フェラチオをされながらアナルに指を入れられると、頭がおかしくなりそうなぐらい気持ちが良い」

といっただけで、アナル自体ではまだ快楽を得られなかったようだった。

それが今回は、違っていた。
指を入れただけで、ヤザキは喘ぎはじめ、私は嬉しかった。

「どこが気持ち良いの?お前のアナルの気持ちよいところ、私にちゃんと教えて」

そういって、私は前立腺を捜していた。

「あ、そこ、そこ」

ヤザキの言葉に私は微笑んで、ヤザキが快楽を見つけた場所を集中的に触った。

「ここは、私だけのモノだからね。お前の身体の中で、こんな場所を触るのは私だけでしょう?絶対誰にも触らせたら駄目よ。ここは、私の身体なんだから」

ヤザキは狂ったように、喘ぎ声をあげながらも、

「はい、はい、はい…」

と繰り返していた。

エネマグラは前回試したけれど、まだ早いように感じていたので、今回は持ってきていなかった。
だから、私は、ゴムでできたアナルビーズを入れた。
一つ入れるたびに、ヤザキは喘ぎ声をあげる。

こんなことは、初めてだ。
私は自分の手でヤザキの身体の開発が行われていることを初めて実感して、震えがくるほどの快楽を感じ、濡らしてしまった。

開発されていない男を、自分の手で染め上げることは、私にとって、とても強い快楽だった。
今まで私が関係を持ったマゾヒストは、全員、長期の主従関係の経験者だったため、言い方は悪いが、他の女の手垢や癖が残っていることが、私はとても嫌だった。

私は、手足の拘束を外し、ヤザキに四つん這いになるようにいった。
そして、バラ鞭で、軽くお尻を打ち始めた。
時たま、アナルを鞭でなで上げると、動物のような声をあげる。
私はそれが、おかしくておかしくて、笑いながら、何度もそれを繰り返した。

その後、ヤザキに私の方を向いて、私の顔を見ながら、自分でアナルビーズを引き抜くようにいった。

「写真を撮ってあげるから、少しずつね」

私はそういって、写真を撮った。
ヤザキは、絶叫といっても過言ではないほどの喘ぎ声を上げて、全てを引き抜いた。

私は、しばらく横になって楽にしていなさいといって、アナルビーズを洗いに浴室へ行った。
時計を確認すると、就寝予定時間まで、残り三十分を切っていた。
私は、どうやって射精をさせるか考えていた。

そして、ヤザキのところに戻り、改めてアナルビーズを入れ、その先を首輪につけたチェーンと繋ぎ、煙草を吸いながら、それを足で引っ張ったり、足の指で乳首に触れたりしながら、射精の方法を考えていた。

煙草を吸い終えて、私はヤザキの隣に横たわり、身体中に手を這わせた。
ヤザキはずっと勃起していた。
ほとんどペニスには触れていないのに、勃起しているペニスを、私は軽く引っかき、チロチロと舐めた。
先からはもう汁が出ていて、あっという間にぬるぬるになった。

「使っていい?」

「はい、使って下さい」

私はヤザキを跨いで、勃起したペニスを膣に埋め始めた。
その時だった。

「痛い!」

ヤザキが大声で叫んだ。
チェーンがどこかを挟んでしまったようだ。

そして、私はその一言で、前回のことが一気にフラッシュバックしてしまった。
すぐにヤザキから身体を離し、歯の根が合わないほどに震えはじめ、恐らく痛みを感じたであろう箇所を撫でながら、一所懸命喋った。

「ごめんなさい。痛かったのね。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

自分が痛みを与えるつもりであったのならば、私はここまで錯乱しなかっただろう。
そしてきっと、ヤザキもそれに気付いたのだろう。
普段、私が許可しない限り、私に触れないヤザキが、私を凄い力で抱きしめた。

「エリさん、大丈夫です。大丈夫です。心配しないで。大丈夫ですから」

私はヤザキに抱きしめられ、頭を撫でられながら、小さな声でいった。

「嫌いにならないで。ごめんなさい。もうしない。だから、嫌いにならないで」

震えて擦れた声でそういった瞬間、涙がこぼれた。

私はその涙で、一瞬我に返った。
ここでヤザキを冷めさせて、SMを中断させることは嫌だった。

そして、震える手でヤザキに目隠しをした。

「煙草吸うから、そのまま横になっていなさい」

そう必死に普通の声でいってから、声を押し殺して泣いた。
そして、薬を飲んで、もう一本煙草を吸って、自分を取り戻した。

ヤザキが抱きしめてくれたことも大きいが、今回は自分でもかなり頑張って錯乱を抑えることができたと思う。
そして、今回もトイレを使わないで、ヤザキに放尿することを考えていたのだけれど、今の状態ではきっとできないし、しようとしてできなかった場合にまた錯乱する可能性が高いと思い、今回は完全にそこで、諦めた。

残り時間はもう五分だった。
私はヤザキの目隠しを取って、いった。

「オナニーして見せて。見ててあげるから。その代わり、射精する時はちゃんと教えるのよ」

私はヤザキの髪を掴んで、私の方に顔を向け、チェーンを外したアナルビーズを軽く引っ張ったり、乳首に触れたりして、ヤザキの顔を見ていた。

「触っていいですか?」

ヤザキは私にいった。

「お前の身体は私のモノで、私の身体はお前のモノよ」

ヤザキは、ペニスをしごいていない方の手で、私の肩や腕や背中を、まるで赤子を触るように優しく触った。

その瞬間、錯乱した影響もあるのかもしれないが、私は血が出るほどヤザキに引っ掻かれたいと思った。
私の身体に思いっきり、ヤザキに傷をつけて欲しくなったのだ。
ただ、その時はその感情は口には出さず、ヤザキの射精に集中した。

ヤザキにとって、今はまだ、射精が一番の快楽だろう。
だからこそ、射精の瞬間に、私はアナルビーズを一気に引き抜くつもりだった。

「ああ、エリさん、いっちゃいます」

そうヤザキがいって、尿道口が開き、私は射精と同時に一気にアナルビーズを引き抜いた。
かなりの出血があり、ヤザキは切れやすいから気にしなくてもいいとはいってくれたものの、まだ私は未熟で、時期相応なことをしてしまったと反省した。

タオルでアナルを綺麗に拭いて、精液をヤザキの身体中に塗りたくって、私はヤザキを浴室へ行かせた。

その間に私は荷物を全て片付け、外を見て、煙草を吸った。
自分がヤザキに対して、傷をつけて欲しいと感じてしまったことが後ろめたくて、ずっと窓の外を見ていた。
ヤザキが戻ってきても、私はヤザキの顔を見なかった。
口では普通に喋っていたけれど、一回も顔を見なかった。

「もう時間だから、早く寝な。明日つらいよ」

そういって、二人でベッドに潜り込んだ。
私はヤザキに背を向けて黙っていた。

数分後、ヤザキの寝息が聞こえてきて、私はヤザキの方を向いた。
そして、私はそれから二時間以上、眠っているヤザキの顔を、見ていた。
何度も触れたいと思ったけれど、少ない睡眠時間を妨げることはしたくなかったため、必死にその欲望は抑えた。

翌朝、ヤザキはぎりぎりまで寝ていた。
私は一時間ほど眠ったところで、すっかり目覚めてしまい、帰り支度をして、口紅以外の化粧をして、着替えていた。
そして、ヤザキが最終的には起きたいといっていた時間の五分前まで、私はまたベッドに潜り込んだ。
五分前になって、私はヤザキの寝巻きのボタンを外し、キスをして、身体に触れて、ヤザキを起した。
半分寝ているのに、私に触れられて、ヤザキは勃起していた。

「オナニーして」

私はそういった。
そして、もういきそうだという時に、私はヤザキの口元に自分の左手を持っていった。

「いく瞬間、思いっきり私の腕を噛みなさい。血が出てもいいから、思いっきり」

けれど、体調不良のヤザキが咳き込んでしまい、勃起も収まってしまい、私の身体にヤザキの痕跡を残すことは、叶わなかった。

ヤザキが出勤準備をするのをベッドの中から見守り、ホテルの入り口までヤザキを見送った。
私は、ヤザキが階段を降りて見えなくなるまで、ずっとその場所から動かずに、ヤザキのことを見つめていた。

次はいつ、私はヤザキに逢えるのだろう。
そう思いながら、ヤザキが見えなくなっても、私はしばらくその場に佇んでいた。

早朝の空気はとても気持ち良かった。

私は幸せだった。

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